真空管ラジオ
5球スーパー

AM1バンド真空管ラジオはローテクノロジーの代表みたいなものですが、使ってみればレトロな気分になれて心が安らぐと言うか、癒される感じになります。 電源スイッチを入れてから音が鳴り出すまでの合間や、ジワーと音が鳴ってくるなど何とも長閑なもんです。 また、真空管のプレートが赤く灯がともる処も、回路が働いている様子が伝わってきます。いまだに現役で活躍しています。 長い間使っていないと内部の電解コンデンサーの容量が空っぽになります。 この状態で電源スイッチを入れると、コンデンサーが充電するまでの間は、音量ボリュームを回すと、ガリガリガリとスピーカーから音が出ます。 これはボリュームを通して繋がっているコンデンサーに充電電流が流れるために起こることで暫くの間のことです。スターライト製ラジオの底面には真空管ラジオの回路図が貼ってあります

このラジオのメーカーは「スターライト」なのでしょうか、型番もありませんが背面版には「made in japan」と印刷された文字が微かに見えるので日本製です。 この様な商品は、当時の中小企業が盛んに生産して米国へ輸出していたことでしょう。1ドル360円と言う円安時代でしたし、L/C決済ですと船積みすればお金になるのでした。こうしたメーカーはいつの間にか消えていってしまったのですね。 五球スーパー真空管ラジオの回路図ですが、本体の底面に貼ってあります。 一般的な五球スーパーとはちょっとち違う処がありコストダウンのためなのでしょうね。(回路図で読めない部分のV4の真空管は50C5) ところで、五球とは、真空管を5本使用していることです。 スーパーとは、スーパーヘテロダインの略で、所謂、信号対雑音の比率を改善し音質を高める回路です。
これは、ラジオ局の放送電波は高周波と云って530KHzから1620KHzの範囲内(昔は10KHzステップでしたが、今は9KHzステップ)で各放送局に割り当てられ、その周波数で放送局から送信しています。そして、この局の電波を受信したら、その高周波を中間周波と云う455KHzに変換し増幅する仕組みがスーパーヘテロダインです。
大分専門的になってきましたが、一般的とはちょっと違うと云うのは、周波数混合回路と中間周波増幅回路をつなぐ部分です。 この部分は一般にはIFトランスを使い455KHzの周波数だけを取り出しますが、このラジオはIFトランスを使わずLとCの並列共振回路を負荷として入れ、455KHzの周波数だけ増幅させる方法をとっているのです。 選択度特性に影響がありそうですが、自動車ラジオのように移動しながら受信することがなく、固定で使用する場合はあまり気にしないのでしょう。
IFの帯域が広そうなので音質的にも良いのでしょうね。
コストダウンの極致を求めようとしたものか、全体的にも部品点数は少なく纏められており、サイズは高さ114mm・幅164mm・奥行き99mm(ノブを含まず)で5球スーパーラジオをとしては最小レベルの形状ではないでしょうか。 また、AC電源は117Vになっていることから米国輸出向けに作られたものと思われます。
何とヒューズすら使っていない、今では日本を含めた全世界の電気用品安全規格に適合しないラジオです。
因みに、このラジオのACコードはオリジナルではないでしょう。 米国仕様でしたらACプラグの端子が日本のコンセントに合わないので、日本仕様のACプラグコードに取り替えたと思います。

ラジオの正面ずらっと並ぶ真空管たち火が入り赤く灯る真空管たちラジオの背面真空管ラジオの回路図画像をクリック

機会が有れば有償譲渡もいいですね。