この鼠志野の徳利とぐい呑みは、岐阜県を旅行したとき、多治見駅前に車を駐車して交番に立ち寄り道を尋ねて地図をもらったりし、雑誌で見たお店(織部うつわ邸)でお土産として購入したものです。
でっぷりとした姿に大振りな葡萄の図柄が大変気に入っています。
言葉の上では、葡萄(ブドウ)は武道に繋がるのでしょうか、鍔・目貫等、刀装具にも葡萄を題材としたものが用いられ、また、刀箱や刀筒などにも葡萄の図を蒔絵で現し、更に栗鼠(リス)も同時に描いたものもあります。
こうしてみると葡萄図の鼠志野は武道就中日本刀を連想させてくれる縁起の良いものであり、この器で酒を呑めば、ひときわ武士の魂に酔いしれます。
この鼠志野は少し変わっています。鉄化粧の上に長石釉を掛けるのですが、その長石釉が変わっているのでしょうか、志野焼茶碗などに見られるピンホールがありません。長石釉が薄く掛かる処は赤くなりますが、よく見ると赤い点が点在しているのが分かります。また、全体に貫入がみられる処も変わた作りです。
でっぷりとした徳利とよくマッチしたぐい呑みです。手持ちの感じもよく、お酒もたっぷり入り呑み心地がよい物です。