日本刀作者の名前

刀剣鑑定会では同然表は必須となりますが、それだけではなく幅広く刀工の名前を覚えることも必要なことでしょう。
ここでは年表や刀工の位列で表にして、刀工の系統から刀工名を勉強しやすくなっています。

古刀期刀剣年表

平安時代末期から室町時代末期までの刀工名を地域別に表しています。
古刀期の畿内では、三条宗近、粟田口国吉、吉光、来国行、国俊、来国光などがいます。
北陸道・山陰道では、則重、江義弘、宇多国光、宇多国房、藤島友重などがいます。
備前国では、正恒、友成、一文字、長船光忠、長船長光、元重や大宮盛景などがいます。
備中国では青江守次や三原正家等がいます。
西海道・南海道の古刀期刀剣年表
東海道の古刀期刀剣年表
東山道の古刀期著刀剣年表

刀剣位列

新刀刀剣の時代分類では、新刀と古刀の境を安土桃山時代の慶長期としています。
慶長以降に作られた刀剣を新刀と呼ぶことになりますが、古刀期と新刀期を跨いでいる刀工は当然居るはずで、慶長期になっていきなりその刀工の作風が変わるわけではありません。 この新刀期は江戸時代の前期にあたり、特筆できるのは寛文新刀と呼称される姿形で、江戸時代の寛文(1661)頃に作られた刀です。
今までになく反りが極端に浅い棒反りで、元先の幅差が目立つ姿をしたものです。
この新刀の著名刀工の位列表は日本刀工辞典(藤代義雄著)を基に新刀大鑑(飯村嘉章著)も加え、上作以上の刀工を挙げていますが、この他にも中上作・中作など多くの刀工の名前があるわけです。
また、従来に見る刀工名の羅列だけではなく、国別や流派など各刀工との繋がり関係性を解り易く現した処に特徴がある位列表となっています。

下表は著名な刀工の名前を表しており、※青文字は鑑定刀としてよく使われる刀です。

街道最上作上々作上作
畿内山城埋忠系埋忠明寿埋忠重義肥後守輝広東山美平埋忠吉信初代☆埋忠重吉☆埋忠宗義七左衛門重義
堀川系堀川国広堀川国安大隅大掾正弘越後守国儔出羽大掾国路初代平安城弘幸阿波守在吉平安城国武出雲大掾吉武初代
三品系越中守正俊初代伊賀守金道初代越後守来金道初代和泉守来栄泉金道二代丹波守吉道京初代・伏見丹波守吉道京二代
長谷部系山城守歳長初代
摂津真改系井上真改二代国貞和泉守国貞初代加賀守貞則土肥真了和泉守国虎北窓治国
助広系越前守助広二代助広そぼろ助広初代近江守助直
国助系河内守国助初代河内守国助二代肥後守国康初代伊勢守国輝
三品系丹波守吉道大坂初代丹後守兼道初代大和守吉道初代近江守久道初代
大坂石堂系多々良長幸
忠綱系一竿子忠綱二代近江守忠綱初代聾長綱
大和文殊系言之進照包二代包貞陸奥守包保初代・左陸奥陸奥守包保二代・右陸奥越後守包貞初代
堀川系堀川国幸
大和手掻系☆手掻包国五代
東海道武蔵繁慶系野田繁慶繁昌正慶
乕徹系長曽祢乕徹長曽祢興正長曽祢興直長曽祢興久
康継系大和守安定二代康継門人江戸康継三代近江守継平初代
兼重系☆和泉守兼重初代和泉守千手院盛国上総介兼重二代
法城寺系法城寺正弘初代法城寺正弘二代法城寺貞国但馬守国正初代
大和系小笠原長旨初代小笠原長宗二代
江戸石堂系武蔵大掾是一初代出羽守光平対馬守常光
加卜系大村加卜
下原系武蔵太郎安国初代・大村加卜門人
相模綱広系伊勢大掾綱広五代
兼若系八幡山清平初代
常陸加卜系板東太郎卜伝武蔵守吉門
江戸石堂系源頼貞
尾張政常系相模守政常初代相模守政常二代美濃守政常三代
信高系伯耆守信高初代伯耆守信高二代
氏房系飛騨守氏房初代備前守氏房二代
東山道近江近江石堂系佐々木一峯初代佐々木一峯二代
美濃室屋関系陸奥守大道二代・法橋三河守大道陳直二代
陸奥国包系山城大掾国包初代山城守国包二代源次郎国包三代仙台包吉初代
三好系奥州会津長国奥州会津政長初代陸奥大掾三善長道初代
安定系仙台安倫二代
北陸道越前下坂系越前康継初代肥後大掾貞国初代越前康継二代下坂貞次肥後大掾兼法三代大和大掾正則初代下坂兼先越前国兼植武蔵守兼中
堀川系山城守国清初代山城守国清二代・菊紋
越中兼重系播磨大掾清光
加賀兼若系越中守高平初代兼若加州住又助兼若二代加州四郎右衛門尉兼若三代
陀羅尼系伊豫大掾勝国初代
山陰道因幡堀川系信濃大掾忠国初代・出羽大掾国路門人
山陽道播磨右作・宗栄三代
備前祐定系七兵衛尉祐定上野大掾祐定
備中水田系大与五国重大月三郎兵衛国重大月市蔵国重大与五国重弟理兵衛尉為家三郎兵衛国重弟
安芸輝広系肥後守輝広初代播磨守輝広二代
南海道紀伊大和手掻系南紀重国初代☆南紀重国二代
西海道筑前信国系信国吉貞元祖信国十二代目信国平四郎吉政初代☆信国平四郎吉政二代信国吉包元祖信国十四代目信国重包元祖信国十五代目
福岡石堂系福岡是次福岡守次
筑後鬼塚吉国
肥前忠吉系肥前国忠吉初代陸奥守忠吉三代近江大掾忠広二代土佐守忠吉初代忠吉門人河内大掾正広初代河内守正広二代肥前国住人吉信初代忠吉門人肥前国住人吉貞初代佐賀吉房初代近江大掾忠吉四代近江守忠吉五代播磨大掾忠国初代佐賀住忠清初代出羽守行広初代伊勢大掾吉広初代佐賀吉家初代広貞同人
宗次系☆伊豫掾宗次初代
☆藤原宗長
薩摩波平系一平安代
丸田系主水正正清伊豆守正房初代惣左衛門正房三代備後守氏房
奥系和泉守忠重薩摩国平

新々刀新々刀とは江戸時代後期にあたり、新刀の次ぎとなる時代の刀です。
いつからいつまでを指すのかと云うハッキリしたものは無く、概ね、水心子正秀が出現時期、即ち江戸時代後期の安永を以て新々刀期の始まりとし、終わりは、慶応四年や明治初年、また、廃刀令が施行された明治九年などが云われています。 幕末頃になると、身幅が広く、大きく鋒が延びた姿形となり、江戸時代初期の慶長新刀にた姿となります。また、様式調練が取り入れられると、刀の長さは短くなり、二尺二寸前後となります。 この新々刀位列表は新刀位列同様に最上作5名、上々作11名、上作46名を挙げ作成しました。

街道最上作上々作上作
畿内山城朝尊系南海太郎朝尊
摂津月山系月山貞一初代月山貞吉
助隆系尾崎源五助隆鷹諶門人☆黒田鷹諶
東海道武蔵清麿系山浦清麿栗原信秀斉藤清人鈴木正雄☆岩井鬼晋麿正俊正義・直胤にも学ぶ
正秀系水心子正秀水心子正秀二代水心子正次三代
直胤系大慶直胤水心子正秀門人次郎太郎直勝☆荘司弥門直勝二代☆荘司直秀次郎太郎直勝子☆心慶胤光
細川系細川正義二代・水心子正秀門人城慶子正明川井久幸清水久義門人☆藤枝太郎英義☆野洲正義初代正義☆清水久義左行秀師
加藤系石堂運寿是一加藤綱俊門人長運斎綱俊初代高橋長信加藤綱俊門人☆加藤綱英綱俊兄☆長運斎綱俊二代
宗次系固山宗次加藤綱英門人泰竜斎宗寛宗次門人
横山系宮本包則横山祐包門人
常陸助隆系市毛徳鄰尾崎助隆門人勝村徳勝初代・徳宗門人直江助政尾崎助隆門人☆直江助共助政子
手柄山系☆高木正行正繁門人
上総清麿系上総正直清人門人
東山道信濃山浦系山浦清麿山浦真雄清麿兄☆山浦兼虎山浦真雄子
浜部系☆河村三郎寿隆清麿の師・寿実門人
美濃永貞系☆御勝山永貞
陸奥手柄山系手柄山正繁二代氏繁次男
兼定系会津兼定十代和泉守兼定十一代
三好系☆棟梁三善長道八代
元興系☆松軒元興二代
北陸道越後加藤系☆加藤国秀綱英・綱俊の父
山陰道因幡浜部系浜部美濃守寿格浜部眠龍子寿実寿格子
山陽道播磨手柄山系☆手柄山氏繁二代
備前横山系横山加賀介祐永初代☆横山祐包初代・祐永兄
助隆系逸見義隆天龍子正隆門人
周防横山系☆藤田永弘祐永門人
南海道土佐行秀系左行秀清水久義門人
西海道肥前忠吉系肥前忠吉六代肥前忠吉八代
薩摩正良系伯耆守正幸三代正良☆松村昌直正良門人
奥系大和守元平初代☆奥元武元平弟