日本刀鑑賞 新刀
江戸時代前期に製作された刀剣で、慶長新刀・寛文新刀と云います。徳川幕府も安定し元禄以降になると平和な時代となり、刀剣の需要は減ってきます。ここでは在銘(含銘切れ)正真とされるものを載せています。
う 氏広
- 銘文:藤原氏広
- 刃長:39.0cm
- 反り:0.7cm
- 外装:脇差拵
コメント:氏広は尾張の刀工で、本脇差は格調高い平造であり、その段平な姿は脇差であっても貫禄十分です。
う 備前守氏房
- 銘文:氏房
- 刃長:40.4cm
- 反り:0.6cm
- 外装:白鞘
コメント:備前守氏房の三ツ棟造りの慶長新刀姿をした身幅の広い豪壮な平脇差です。
か 上総介兼重
- 銘文:上総介兼重
- 刃長:50.0cm
- 反り:0.6cm
- 外装:白鞘
コメント:上総介兼重は和泉守兼重の門人で、長曾祢乕徹と相弟子の関係にあり、その作風は乕徹に似る処があります。
か 文殊包次
- 銘文:包次
- 刃長:53.3cm
- 反り:1.8cm
- 外装:脇差拵
コメント:包次の本国は大和で左陸奥守包保の門人です。また同門の右陸奥守包保との合作刀もあります。
き 和泉守来金道
- 銘文:(菊紋)和泉守来金道
- 刃長:51.4cm
- 反り:0.9cm
- 外装:白鞘
コメント:三代来金道は寛文頃に活躍した刀工です。本刀も元先の幅差が開いて、所謂寛文新刀姿をした脇差ですが、元幅が頗る広く、重ねの厚い造りは豪壮な姿をしています。
き 伊賀守金道
- 銘文:(菊紋)伊賀守藤原金道
- 刃長:47.3cm
- 反り:0.1cm
- 外装:白鞘
コメント:三品一派である丹波守吉道の簾刃の片鱗を伺わせる刃文です。
く 石見大掾国助
- 銘文:石見大掾藤原国助
- 刃長:37.2cm
- 反り:0.8cm
- 外装:白鞘
コメント:初代河内守国助の弟で作域も河内守に同様であり、河内守国助の代作をしていたことが知られ、石見大掾国助銘の作品は少ないです。
く 井上和泉守国貞
- 銘文:井上和泉守国貞/(菊紋) 寛文十二年八月日
- 刃長:63.5cm
- 反り:1.5cm
- 外装:打刀拵
コメント:新刀最上作、真改に改名する直前の国貞銘の刀です。
く 堀川国安
- 銘文:国安
- 刃長:71.6cm
- 反り:1.2cm
- 外装:白鞘
コメント:国安は、本国は日向飫肥で堀川国広の弟と云われ、上京して国広門下となります。本刀は国正の代銘となっています。
こ 武蔵大掾是一
- 銘文:武蔵大掾是一
- 刃長:48.5cm
- 反り:0.99cm
- 外装:白鞘
コメント:相州伝の鍛えを現した是一の脇差です。備前伝を得意とする江戸石堂ですが、敢えて相州伝としたところに作者の強い意志が感じられるます。
た 信濃大掾藤原忠国
- 銘文:信濃大掾藤原忠国
- 刃長:70.9cm
- 反り:1.3cm
- 外装:白鞘
コメント:信濃大掾忠国は、初代は出羽大掾国路の高弟の一人で、後に因州鳥取へ移住しています。
た 摂津守忠行
- 銘文:摂津守源忠行
- 刃長:68.1cm
- 反り:1.5cm
- 外装:白鞘
コメント:初代摂津守忠行は、大坂新刀の巨匠一竿子忠綱の弟と云われ、数代続いた名工です。
な 三善長道
- 銘文:陸奥大掾三善長道
- 刃長:52.7cm
- 反り:1.3cm
- 外装:脇差拵
コメント:会津乕徹と称される長道です。刀身には彫物があり豪壮で、拵えは鮫巻鞘が大変美しいです。
の 信濃守信吉
- 銘文:信濃守源信吉/於洛陽以南蛮鉄造之
- 刃長:65.0cm
- 反り:1.4cm
- 外装:打刀拵
コメント:南蛮鉄を使った刀で、附属には金具が一作で揃った拵えが付いています。
ま 摂津守正友
- 銘文:摂津守源正友入道/武州於江戸作
- 刃長:49.8cm
- 反り:1.3cm
- 外装:白鞘
コメント:摂津守正友は江戸時代寛文頃の刀工で、磐城国の相馬中村藩の抱え工です。江戸にても作刀しています。
ま 河内守正広
- 銘文:肥前國河内守藤原正廣
- 刃長:71.1cm
- 反り:2.0cm
- 外装:白鞘
コメント:正広は肥前鍋島藩工で、正広家は忠吉家の分家ですが、初代・二代正広の技倆の高さは一門の中でも抜きん出でおり、本家への強い協力者となっています。
み 上総守源光重
- 銘文:上総守源光重
- 刃長:50.9cm
- 反り:1.9cm
- 外装:白鞘
コメント:氏広は尾張の刀工で、本脇差は格調高い平造であり、その段平な姿は脇差であっても貫禄十分です。
や 河内守康永
- 銘文:河内守(以下切れ)
- 刃長:51.8cm
- 反り:1.0cm
- 外装:白鞘
コメント:氏広は尾張の刀工で、本脇差は格調高い平造であり、その段平な姿は脇差であっても貫禄十分です。
や 武州安家
- 銘文:武州住安家
- 刃長:72.9cm
- 反り:1.1cm
- 外装:白鞘
コメント:安家は下原一派の刀工で武蔵太郎安貞の門人と云われています。彼の生年など詳細は不明で研究の余地がある刀工です。
よ 信国吉包
- 銘文:筑前住源信国吉包
- 刃長:69.5cm
- 反り:1.4cm
- 外装:白鞘
コメント:信国吉包は黒田藩の抱工でお留め鍛冶であったため、その存在があまり知られていませんでしたが新刀期の名工です。
よ 信国吉次
- 銘文:信国源吉次
- 刃長:56.2cm
- 反り:1.3cm
- 外装:白鞘
コメント:吉次は、黒田長政の抱工となった信国吉貞の次男です。兄の吉政が父に背いて備前伝を学んだため廃嫡となり、弟の吉次が信国家を継ぎ、信国正系十三代目となります。
よ 肥前吉房
- 銘文:肥前國佐賀住源吉房
- 刃長:76.75cm
- 反り:2.0cm
- 外装:白鞘
コメント:初代肥前忠吉の門人である初代吉房の長寸の刀で、優美な姿形をした肥前刀です。
よ 丹波守吉道
- 銘文:(菊紋)丹波守吉道
- 刃長:51.8cm
- 反り:1.2cm
- 外装:白鞘
コメント:初代吉道は簾刃を創案したことで知られ、本作は三代吉道です。