日本刀のお手入れ

日本刀は鉄製品であるため、手入れを怠ると錆の発生原因となります。美術的価値を保つために適切にお手入れをして、大切に保管しましょう。

柄から刀身の抜き方刀の柄から刀身を抜きます先ず、白鞘に収まった状態で目釘を抜きます。
次ぎに、鞘を払い(抜いて)左手で柄を持ち刀を立て、刃を外側に向け右斜めにします。
次ぎに、右手を拳にして、柄を持っている左手のくるぶし辺りを叩いて刀身を柄かから浮き上がらせて抜きます。

刀油につて刀油と油拭い布刀のお手入れは定期的に(1ヶ月~2ヶ月間隔)丁子油を塗布します。
刀身の古い油を柔らかいパルプ100%のティッシュペーパーで拭いとります。近年では打ち粉の代用として油汚れを拭き取るクリーナークロスがよく使われ、古い油を除去します。そして古い油を取ったら新しい丁子油を柔らかい布などに染みこませて刀身全体に薄く塗布します。
また、古い油が固まってしまっている場合は無水アルコールで拭くと取れます。

サビについて錆取りクリーム軽微な白錆でしたら打ち粉を打って拭うと取れる場合があります。但し、力を入れてゴシゴシとしつこく繰り返し行ったり、品質の悪い打ち粉を使うとヒケ傷がつきますので注意が必要です。
刃先などの少しの錆は、研磨剤の入っていないメタルクリーナーを綿棒の先に少しつけて、サビの部分を軽く拭くとサビは落ちます(赤錆に有効です)。その場合、研ぎ師が化粧研ぎを施した部分がテカルので最小限の範囲にします。
刀の棟や、鎬筋などにつくサビは鞘に当たっている可能性があり、一度サビを除去しても再発する場合があります。この場合は鞘の修理も必要となる場合があります。

ヒケ傷への注意刀のヒケ疵ヒケとは、刀身の油を拭うときに、拭い布や拭い紙に硬いゴミやホコリなどが付着していた場合、また刀身に塵が付着している場合等、これらに気付かず刀身を拭ってしまうと筋状に擦れ痕がついてしまう傷を云います。
当然ながら物や紙を斬っただけでもヒケは付きます。刀身の油を拭うとき、また油を引くときはくれぐれも注意しましょう。


刀の保管

刀箪笥日本刀は美術品と云っても扱い方により危険が伴いますので、容易に誰でも手が触れられる処に飾ることは避けるべきです。また、美術的価値を保つためにもその保管場所には気を付けましょう。特に刀身の錆びは深刻な問題となます。錆の大敵である湿度の高い場所は避けるべきです。
刀の保管には刀箪笥が適しています。所蔵の刀が多くない場合は刀箪笥を購入する必要はないと思います。しかし、衣装タンスの引き出しに保管する場合、防虫剤(ショウノウ)などがそこに入っていると刀身に錆びが発生すると云われ、注意が必要です。
また、通常のお手入れをしておけば梅雨時でも問題はありません。しかし、冬場では冷えた場所に置かれていた刀を暖かい部屋で鞘から抜くと刀身が結露する場合があります。刀身から水分の拭き取りが残った状態で鞘に納めてしまうと錆びが発生しますので御注意下さい。