説明
固山宗平は陸奥(福島県)産の刀工で、固山宗次の紹介であろうと考えられますが、上総一宮藩の御抱工となり、高い技倆の持ち主であることから、上総久留里城主黒田直養の佩刀を鍛えています。
一宮藩は現在の千葉県一宮町であり、2020年の東京オリンピックではサーフィン競技が行われる場所としても注目される町です。
中心に切られた年紀の明治二年は一宮藩最後の藩主である16代加納久宜が一宮藩知事になった年でもあり、本刀は藩主体制時代最後の刀です。宗平は固山宗次の兄である初代宗平の子で、宗次から見れば甥になります。
本刀は、身幅広く踏張りがあり、元先の幅差がさほど開かず、重ね尋常で、鎬幅目立って広く、寸は時代世相を反映して短めながら堂々とした体配です。
また、小杢目が良く詰んだ地鉄に、刃文は匂口の締まった互の目丁子を焼き、湯走りや飛焼を交え、約三寸五分の等間隔で同じ刃取りを繰り返す処などは固山宗次との関係を窺わせます。帽子は乱れ込み、飛焼を交えて尖り心に小丸にかえります。
※法量には若干誤差がある場合があります