刀:信国吉包

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説明
信国吉包は京の信国より数えて信国正系14代目に当たり、祖父の吉貞が黒田長政に使えて以来黒田藩の抱工となる。
黒田藩では信国の他に筑前石堂が有名ですが、信国の刀は黒田藩内のみに販売が許され、他国への販売が禁止されていた所謂お留め鍛冶であったため、その存在があまり知られていませんでした。
この信国の正系は茎に切る"國"の字が逆字となるのが習わしであり、正字に切るのは傍系とされます。
また、江戸浜御殿で将軍吉宗の佩刀を鍛え、葵一葉紋を茎に切ることを許された信国重包の父でもあります。
この信国吉包の作は小板目が良く詰んだ地鉄に、鎬は柾鍛え、刃文は匂小沸深い出来で、丁子に太く長い足がよく揃って入り、帽子は乱れ込み、明るく冴えた出来映えは肥前の上工に紛れるような出来となっています。
鑑刀日々抄の解説では、「刃文は匂小沸深い出来で、丁子を主調として蛙子、袋、飛焼、互の目も交じり、太く長い足がよく揃って入り、総じて焼深く処々鎬に及ぶ。帽子も焼深く浅く湾れて突き上げ心につよく返る。地刃共に肥前風を試みて本科の上出来に紛れるはどであるが、帽子がことなり、それよりも体配が肥前上工の一般の作に比して頑丈でやや垢抜けない感がある。としても同作傑出の一口である。」とあります。
鞘書きは、筑前源信国吉包 刃長二尺二寸九分 佳作 昭和巳酉年晩秋 薫山誌 花押とあり、鑑刀日々抄の46頁にその解説と押形が載っております。

  • 銘文(表):筑前住源信国吉包
法量
  • 長さ:69.5cm
  • 反り:1.4cm
  • 元幅:3.32cm
  • 元重ね:0.74cm
  • 先幅:2.56cm
  • 先重ね:0.55cm
  • 時代:江戸時代 寛文頃
  • 国 :筑前
  • 地鉄:小板目詰む
  • 刃紋:丁子に互の目交じる
  • 中心:生ぶ、目釘孔一個
  • 登録:昭和三十四年 福岡県
  • 鑑定書:特別保存刀剣鑑定書

※法量には若干誤差がある場合があります

詳細画像

信国吉包の鑑定書
信国吉包の刀身表全体
信国吉包の刀身裏拡大1
信国吉包の刀身裏拡大2
信国吉包の刀身裏拡大3
信国吉包の刀身裏拡大4
信国吉包の刀身裏拡大5
信国吉包の刀身裏全体
信国吉包の刀身表拡大1
信国吉包の刀身表拡大2
信国吉包の刀身表拡大3
信国吉包の刀身表拡大4
信国吉包の刀身表拡大5
信国吉包の刃紋拡大
信国吉包の中心棟拡大1
信国吉包の中心棟拡大2