2014年度の刀剣美術誌上鑑定所感

3月の鑑定所感

2015.3.20

ここ数日間「Word Press」の立ち上げで忙しくしていましがやっと一段落をしました。
さて、1月号の鑑定講評では鎌倉末期から南北朝中期の青江と云うことで「直次」も当たりでしたから、今月号の「良西」で一年間全て当たりになります。多分大丈夫でしょう。
今回で平成26年度の鑑定所感速報は終わりとなります。お疲れさまでした。

2015.3.18

今月号は「当麻」などと云いましたが、よくよく調べてみると全然違いますね。結論から云えば「良西」の短刀です。大変失礼いたしました。

2015.3.16

先月号の答えは「板倉言之進照包」の刀でした。当たりでした。

今月号の短刀は難しいです。感で行くしかないですね。直感的には「当麻」ではないかと思いますが、或いは「尻懸」かも知れません。変わった彫物や造り・重ねが厚い・沸が強いなどの極めは「当麻」と云う、との記憶があります。また当麻は銘を切ることが稀と云われています。在銘作がこの短刀のみでは個銘は全く分かりません。そこで今回は「当麻の刀工を探してみることに」致します。

2月の鑑定所感

2015.2.9

先月号の答えは「青江次吉」の太刀でした。直次での入札は少しひねくれていましたでしょうか、いや~まいりました。

今月号の刀は濤瀾風の刃紋から見て新刀もしくは新々刀ですね。元先の幅差開き反り浅くつく姿から寛文新刀と見られます。焼刃に矢筈風や片山風が見られます。そこで今回は越後守包貞が前銘である「板倉言之進照包」の刀と致します。

1月の鑑定所感

2015.1.12

先月号の答えは「古伯耆安綱」の太刀で当たりでした。11月も「国村」で当たり扱いとなりました。

今月号の太刀は、刃紋が匂口締まり心に小沸付き総体に逆がかること、段映りがあること、独特の肌合い(縮緬肌)となること、中心の銘が佩表の棟よりになる等を考えれば鎌倉末期から南北朝初期の青江物と考えられます。個名の特定は難しく時代を異にして同銘(吉次・直次・次吉など)がありますが、この期の刀工に入札すれば結構だと思いますので、そこで今回は鎌倉末期から南北朝初期の青江「直次」の太刀と致します(入札には時代を入れた方がよいと思います)。

12月の鑑定所感

2014.12.13

先月号の答えは「延寿国時」の太刀でした。国村でもきっと当たり扱いにしてくれるといいですね。たぶん大丈夫でしょう。

今月号の太刀は姿形から云ってかなり古い刀工ですね。焼落しはあるし、地鉄の様子や平肉がつくなどは古伯耆物、就中安綱と見るのが穏当でしょう。安綱の「綱」の切り方は「安」より大きくしかも右に寄る手癖があります。そこで今回は伯耆国の「安綱」の太刀と致します。

11月の鑑定所感

2014.11.13

先月号の答えは「兼元」の刀で当たりでした。

今月号の太刀ですが、来派かなと思いましたがどうも地鉄が違うようです。流れ肌が現れる処や、白け立つ処、また、来派であれば弱い肌が現れると云う表現になりまが、地斑状のかね現れると云うことが違います。そうしますと来派の流れと伝えられている延寿一派と思われます。帽子も先が大丸になる処など頷けます。そこで今回は延寿「国村」の太刀と致します。

10月の鑑定所感

2014.10.12

先月号の答えは「繁慶」の刀で、今回も当たりでした。

今月号の刀ですが、刃長がやや短く、先反りがつき、中鋒延び心の姿で、地鉄が板目に流れ柾が交じり、白け映りが立つと云うことで室町時代中期頃の美濃物の気がします。この時代で有名な刀工に兼元・兼定がいます。今月号の刃紋を見ますと、刃紋が二つ、三つ、四つと連れ乱れの群落を構成していて、その群落の谷が刃先に迫る処が見られます。このような焼刃は「兼元」の二代で所謂「まご六」に当てはまります。

9月の鑑定所感

2014.09.12

まず、先月号の答えは大慶直胤の刀と言うことで当たりでした。そして7月号も康光も当たり扱いと云うことで誠に結構なことでした。

さて、今月号の所感ですが。身幅広く、元先の幅差あまり開かず、反り浅く、重ね厚く、中鋒の姿形は、慶長からやや降った元和頃のものと考えられます。そして地鉄は大板目に杢目・流れ肌が交じり黒く太い地景が入ること、刃紋は刃縁がほつれ、金筋・砂流しが頻りにかかるところなどを考え合わせて「繁慶」が浮上します。更に、造込みが三ツ棟で、棟のおろしが急峻であることや、中心の鑢目は表が大筋違、裏は逆大筋違、棟は檜垣と繁慶特有であることにも合致します。

8月の鑑定所感

2014.08.09

今月号の問いは一見して新々刀と思われる刀です。刃紋の乱れが逆がかると云うことに、尖り刃や角張る刃が交じり、地鉄は板目に杢が交じり、乱れ映りが立つなど、備前伝を狙った作と見られます。更に銘の位置は中心指裏に切る処など特徴的なところがありこれらを考え合わせれば、「大慶直胤」が浮かび上がります。

7月の答えは長船盛光の短刀でした。康光ではなく残念、刃紋が直刃で盛光・康光の区別は難しいところです。しかし、今回の評価は康光でも当たり扱いの可能性があると思います。9月の講評に期待します。

7月の鑑定所感

2014.7.20

今月の鍛刀は非常に難しいと云う事で色々ご意見を頂きました。その中でも傾聴するに値するものの中で「景光」のご意見がありました。確かに映りの上から云えば段映りは南北朝時代に見るもので、室町時代には棒映りが主流となることが云えます。

2014.7.11

6月号の答えは片山一文字則房で当たりでした。
今月号は短刀です。やや寸が延びて寸法の割に身幅が狭く内反りの姿形をしていて、刃紋は匂口の締まり心の直刃です。この姿は室町時代の応永頃に見られるし、鎌倉時代の来国俊を狙ったようで、また、帽子が倒れる感じで末関にも見えます。
しかしながら、映りは刃寄りに棒映り、棟寄りに乱れ映りが立つこと、中心先は栗尻が張る処を感えると備前物、中でも「康光」が浮かびます。しかし、帽子が納得出来ません。

6月の鑑定所感

2014.6.15

今月は片山一文字「則房」でしょう。
先月号は来国次で当たりでした。


5月の鑑定所感

2014.5.13

今月号は短刀です。姿から云えば、ほぼ常寸で、身幅広め、反りが無いのは、鎌倉末期から南北朝初期ころと見られます。沸映りが鮮明に立ち、この派独特の肌合いが現れると云えば、来国光・国次辺りになるのでしょう。帽子が大人しいのでここは「来国次」と致します。
4月号の答えは「村正」の刀でした。


4月の鑑定所感

2014.4.12

平成26年度のスタートとなる4月の誌上鑑定所感です。一年間全問正解をめざして頑張ります。
3月の正解は「越後守包貞(二代)」でした。当たりでよかった。
さて今月は本誌の押形やヒントからその特徴を見ると、まず先反りの付く姿は室町期の末古刀と捉えられます。刃紋は上半が直刃、下半が乱れ刃で上下で著しく違う処は末関や村正によく見、更に表裏が揃うこと。また焼刃の谷が刃先へかけだし気味となること、帽子は返りが深く棟焼があることなど村正の特長と合致しています。ここは「村正」(二代=中心の棟が角)と云うことでいいのでしょう。