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  • 2016年度の刀剣鑑定所感

2016年度の刀剣美術誌上鑑定所感

3月の鑑定所感

2017.3.10

先月号の答えは「出羽守行広」の刀で当たりでした。

今月号の太刀も難しそうです。ヒントで云う姿は「腰反り高く踏張りあり、先へも反り加わり、相対に輪反り状を呈し・・」、また、「処々地斑状の独特の肌合い現れ、沸映り立つ」と云うことなので山城の来一派と考えることができます。更に刃紋は、物打辺の二重刃や腰元辺の棟焼、そして京逆足が現れる処からも来派に思えます。
来の誰かと云うと、焼刃が穏やかなので来国俊や、来国光かなとも思えますが、ヒントにある「本工には太刀の作例は僅少で、十口前後が確認されているのみである。」とあるので、そこで今回は太刀の作例が少ない「来国次」と致します。(多分、国次の初期作であろうと思います)

2月の鑑定所感

2017.2.10

先月号の答えは「相州広光」の脇差で当たりでした。

段々難しくなってきました。そろそろ篩に掛けられる感じでしょうか。
今月号は新刀でしょう。
姿では反りが輪反り状に高くつくこと、刃紋では乱れと乱れの間を直刃で繋いでいる処が見られる、彫物では棒樋が両チリになっている等、これらで思い浮かぶのは肥前刀です。
そして、地鉄が心持ち黒味がかることや、刃紋に矢筈風の刃が入るなど、肥前でも正系ではなく傍系と見られ、中でも行広に見てとれるところがあります。
そこで、切り銘の位置から云って、二代ではなく初代の肥前「行広」の刀と致します。

1月の鑑定所感

2017.1.12

先月号の答えは「山城大掾国包」の脇差でした。当たりです。

今月号の脇差は身幅の広い寸延びの平脇差です。三ツ棟で、重ねが心持ち薄く、反りが浅くつくとなると時代は南北朝期かな。刃紋は皆焼、中心が刀身に比して短いのは相州物が考えられます。刃紋は、頭の丸く大きめの独特の丁子と云うことで、団子風の丸い丁子を焼くのは広光の特徴ですから、ここは「広光」の脇差と致します。

12月の鑑定所感

2016.12.13

先月号の答えは「二代河内守国助」の刀と云うことで当たりでした。

今月号は平造の脇差です。身幅広く、大きく寸延び、重ね厚く、反り浅く付く姿形のヒントから、慶長新刀期であろうと考えられます。地鉄の鍛えが柾であり、刃縁にほつれ・喰違刃が現れることから作柄は大和伝を示しています。ここは、「山城大掾国包」の脇差と致します。

11月の鑑定所感

2016.11.12

先月号の答えは「長船次行」の太刀で当たりでした。

今月号の刀は新刀ですね。いきなり刃文から入って拳形丁子でしょう。ヒントにはこの刃文の創始者として名高いとあるので、今回は「河内守国助(二代)」の刀と致します。

10月の鑑定所感

2016.10.11

先月号の答えは「古一文字の貞真」の太刀でした。古一文字はよかったですが、個銘までは無理でした。でも、きっと当たり扱いになると期待しています。

さて、今月号の鑑定刀は、体配が身幅尋常、元先の幅差さまで開かず、磨上げながらも腰反り高く、先へも反り加わり、身幅の割に目立って重ね厚く中鋒。ここは「身幅の割に目立って重ね厚く」とある特徴から、時代は南北朝末期と見るべきでしょうね。
刃幅は身幅に比して狭く、刃文は小互の目・小丁子・小尖り刃・角張る刃や片落ち互の目など様々な刃が交じり総じてこずむ所から見ると、備前の小反りと見られるでしょう。先月に続き今月も個銘の特定は難しいですが、名の知れた所では、次行・師光・秀光などがあげられますが、今回はその中で代表して、小反りの「次行」と入札致します。

9月の鑑定所感

2016.9.9

8月号の答えは多々良長幸の刀と言うことで当たりでした。
さて、今月号ですが、姿形は身幅細く、元先の幅差開き、腰反り高く、先へ伏さごころとなり、小鋒。と云うヒントから、時代は平安末期から鎌倉初期となりますね。
また、押形からは映りが現れている様子は分からないですが、「本工の属する流派の作品には、地斑映りの現れるものが多い」。とあるので、そこから考えると、この時代で地斑映りが現れる刀工は、古備前の刀工や、古一文字、古青江が頭に浮かびます。しかし、青江の銘は佩裏に切るのが一般的であるから除外しましょう。
そこで、ヒントには「本工の属する流派」とあるので、古備前は流派とは云わないので、古一文字の誰かとなるでしょうね。二字銘があるけれど個銘の特定となると難しいです、はっきり言って解りません。そこで、ここは大きく「古一文字」としたい処ですが如何でしょうか。

8月の鑑定所感

2016.08.10

猛暑日が続き、夏はいらないと思える日々です。
さて、7月号の答えは古伯耆安綱の太刀で当たりでした。
今月号の出題刀ですが、刃長が二尺八寸近くもある大きなは刀ですから、新刀乃至新々刀となる訳ですね。
ヒントで云う、地鉄には乱れ映りが現れるとなれば、新刀で云えば石堂系が考えられ、新々刀では大慶直胤か固山宗次の末備前写しあたりが考えられるのでしょうか。
しかし、宗次であれば地鉄が無地風であるとか、帽子は先が小丸に返るとなるでしょう。また、直胤では中心の銘は指裏になるので違います。
すると、やはり石堂系となるのでしょうね。中でも特に帽子の先が鋭く尖っている処など多々良長幸と思えますがどうでしょうか。ここは「多々良長幸」の刀と致します。

7月の鑑定所感

2016.7.9

6月号の刀は主水正正清で当たりでした。
さて、今月号は何時になく早く届きましたね。
早速ですが、ヒントでは身幅細く元先の幅差開き、腰反り高く踏張りあり、先へ伏さごころとなる。とあるので所謂藤末鎌初の太刀であろうと思われます。地鉄は総体に大模様に肌立つこと、更に鉄色が黒味がかるとなると、やはり本場物でなく地方のものでしょう。刃文は焼落しがあるのところから一つには九州物の「行平」や「定秀」あたりも考えられますが、九州物であれば地鉄はネットリとした感じになるでしょうからちょっと違うかな。すると、古伯耆ものだと地鉄の状態も合致するでしょうから、「安綱」または「大原真守」でしょうかね。今回は、二字銘であり、且つ、銘の下の字が上の字より心持ち大振りと云うことなので古伯耆の「安綱」と入札しましょう。

6月の鑑定所感

2016.6.10

5月号の答えは「初代忠吉」の刀で当たりでした。
今月号の刀ですが、体配は身幅広く、元先の幅差があまり開かず、反り浅く、重ね厚く、中鋒延びれば、一応新々刀と考えたいです。平肉が豊かで手持ちのずっしりと重たい造込みは薩摩新々刀の感じがしますね。一般的に新々刀の中心は先へ行ってもそれ程細らないものが多いようですが、薩摩新々刀は、元平や伯耆守正幸なども先へ細くなりますね。
ここで刃文を見ると、物打から上が盛んに乱れ覇気に富んでいます。また、刃縁が変化に富み、湯走りが二重刃状となっています。これらは薩摩新刀の正清の特色と云えるのではないでしょうか。また、正清は中心棟寄りに一葉葵紋を切り添えていることでも知られています。そこで今回は「主水正正清」とすることに致します。

5月の鑑定所感

2016.5.13

4月号の答えは「南紀重国」の脇差で当たりでした。
さて、今月号の刀ですが、元先の幅差が殆ど開かず大鋒の姿で、生ぶ中心の刀となれば慶長新刀か新々刀でしょうが、反りが深いので新々刀は取り敢えず外したいです。刃文は直刃であり、大和風のところから考えると南紀重国か肥前忠吉が思い浮かびます。ヒントを読むと地鉄は小板目がよく詰むとあるので、南紀でしたら流れ肌が交じるから違うでしょう。また、直刃でも湾れが交じることや、詰んだ地鉄、それに指裏に銘を切るとなれば、ここは初代「肥前忠吉」と入札したいです。

肥前刀は水影を消すために区の部分の刃が消えるものを見ます。

4月の鑑定所感

2016.4.13

3月号は「越中守高平」の刀で当たりでした。昨年度も全て当たりを取れました。
さて、今4月号より平成28年度のスタートと成ります。
今月号の脇差はよく見ます。鑑定と云うより記憶に残っているものです。重ねの厚く、身幅の広い造込みから、慶長新刀と見てとれ、刃文は刃縁にほつれ・喰違刃が交じることで大和系となるでしょう。ここは大和手掻の末流と云う「南紀重国」となるでしょう。

2016年度 入札鑑定結果
月号刀問い答え
4月南紀重国当り
5月肥前忠吉当り
6月主水正正清当り
7月安綱当り
8月多々良長幸当り
9月古一文字当り
10月小反り・次行当り
11月河内守国助当り
12月山城大掾国包当り
1月広光当り
2月肥前行広当り
3月来国次当り